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【雑用付与術師が自分の最強に気付くまで】漫画はどんな話?ネタバレなしあらすじ|追放系ファンタジーを解説

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【雑用付与術師が自分の最強に気付くまで】漫画はどんな話?ネタバレなしあらすじ|追放系ファンタジーを解説

追放系ファンタジーには、ある程度お決まりの流れがある。役に立たないと見なされた主人公がパーティーを追い出され、外に出てから本当の価値が発覚し、元いた側は崩れ、新しい仲間と新しい居場所を得る。
『雑用付与術師が自分の最強に気付くまで』も、入り口だけ見れば確かにその型に入っている。だが、実際に読んでみると、面白さの重心は別の場所にある。

 

この作品が強いのは、「追放されたからスカッとする」だけで押していないところだ。
まず、主人公ヴィムの能力がかなり地味である。剣士でも魔法使いでもなく、前に出て敵をなぎ倒すタイプでもない。彼がやるのは付与、補助、調整、装備の管理、戦闘を成立させるための細かな積み上げだ。普通なら脇役に置かれやすい仕事を、この作品は真正面から主役の能力として扱っている。

 

しかも、その「地味な仕事」が積み重なるとどれほど恐ろしい差になるのかを、理屈と作画の両方で見せてくる。
だからこの漫画は、追放系の気持ちよさを入り口にしながら、実際には支援職の価値を極限まで引き上げたバトルファンタジーとして読める。
「どうせいつもの追放ものだろう」と思っている時ほど刺さりやすいタイプの作品だ。


雑用付与術師が自分の最強に気付くまではどんな話?ネタバレなしあらすじ

主人公のヴィムは、付与術師としてパーティーに所属している。
ただし彼自身は、自分の仕事を大したものだと思っていない。戦闘の主役は前衛であり、自分はその後ろで補助と雑務を片付ける側だと信じている。だから装備のメンテナンスも、戦闘中の補助も、魔力の管理も、全部「できて当然の雑用」くらいの感覚でこなしている。

 

だが、その前提がまずズレている。

 

ヴィムがやっていたのは、誰でもできる補助ではない。
本人が無自覚なだけで、その付与の精度も速度も出力も、周囲の基準から見れば明らかにおかしい。戦場で前衛が最大限に動けるのも、装備が限界以上の性能を発揮するのも、危機的な局面で崩れずに済むのも、全部ヴィムの支援があるからだ。
ところが当の本人は、「自分より戦える人はいくらでもいる」と思い込んでいるため、自分が支えていた戦力の大きさを理解していない。

 

そんなヴィムが、ある出来事をきっかけにパーティーを追われる。
理由は単純で、「雑用しかできない奴はいらない」と判断されたからだ。追放系としては王道の始まりだが、この作品の場合、ここからの落差が大きい。なぜなら、切り捨てた側が無能だったのではなく、何が価値なのかを理解できていなかったことがすぐに効いてくるからである。

 

一方で、居場所を失ったヴィムは別の出会いを得る。
そこで初めて、自分のやっていたことが「誰にでもできる当たり前」ではないと少しずつ可視化されていく。しかも面白いのは、ヴィムがいきなりイキるタイプの主人公ではないところだ。自分の強さに酔うのではなく、できることを淡々と積み上げていた結果、周囲の方が先に「こいつはおかしい」と気づく。
この無自覚さが、追放系特有のカタルシスを少し変えている。

つまり『雑用付与術師が自分の最強に気付くまで』は、追放された主人公が外で無双する話であると同時に、支援職の価値がどれほど試合と戦場を支配していたのかが遅れて発覚していく話でもある。
読みどころは「ざまぁ」だけではない。むしろ、「そんな地味な能力が、そこまで化けるのか」という発見の方がずっと強い。


基本情報

  • 原作:戸倉儚

  • 漫画:アラカワシン

  • キャラクター原案:白井鋭利

  • 出版社 / レーベル:双葉社 / モンスターコミックス

  • 巻数:既刊11巻

  • 完結状況:連載継続中のシリーズ展開中


雑用付与術師が自分の最強に気付くまでの構造

世界観

この作品の舞台自体は、ギルド、迷宮、階層主、探索者といった要素が揃った王道ファンタジーだ。
だから入り口はかなり分かりやすい。強いパーティーがいて、探索と戦闘があり、前衛・後衛・支援の役割分担がある。
だが、この作品はその王道の中で、普通なら背景に追いやられる「支援職の仕事」を物語の中心に持ってきている。

 

つまり世界観の肝は、戦闘の派手さではなく、戦闘が成立するまでに必要なものがちゃんと存在しているところにある。
前衛が活躍するためには、武器の調整が要る。補助が要る。タイミングが要る。継戦能力を保つための積み上げが要る。
多くの作品では省略されるそこを、この漫画はきちんと見せる。だからファンタジーでありながら、戦闘の手触りに妙な実感が出る。

戦闘システム

ヴィムの付与術は、単に「能力を上げる便利魔法」ではない。
空気抵抗、衝撃の逃がし方、武器の特性、反応速度、魔力の通り方といったものに干渉し、戦闘そのものの条件を変えてしまう。
ここがこの作品のバトルを面白くしている。

 

普通の無双系は、主人公の火力が高いから勝つ。
この作品は少し違う。ヴィムがやるのは、敵より強い一撃を出すことではなく、味方が強く見える条件を作り、敵の想定を外し、戦場をこちらに有利な状態へ調整することだ。
だから戦闘の見え方も変わる。これはただのバフではなく、ほとんど戦場設計に近い。

 

そのうえで、アラカワシンの作画がかなり強い。
加速、斬撃、衝突、重心移動、身体のしなりといったものが視覚的に分かりやすく、支援によって「何が変わったのか」が絵で伝わる。
支援職が主役だと説明過多になりやすいが、この作品は絵がその問題をかなり解消している。ここが一段抜けている。

作品テーマ

『雑用付与術師が自分の最強に気付くまで』が描いているのは、能力の派手さではなく、価値を見抜けるかどうかという問題だ。
目に見えて強い者は評価されやすい。だが、戦場の裏側を支えている者、全体を成立させている者、失って初めて重要性が分かる者は軽視されやすい。
ヴィムはまさにその位置にいる。

 

だからこの作品の気持ちよさは、「追放した連中が痛い目を見る」だけでは終わらない。
本当に効いてくるのは、今まで雑用だと思っていたものが、実は最も高度で代替の利かない仕事だったと判明していくところだ。
地味な役割が、見方を変えると一番恐ろしい。そこに、この作品らしい逆転の快感がある。


この漫画が刺さる理由3つ

  • 追放系の気持ちよさが、かなり上手く出る
    ヴィムを切った側が少しずつ崩れていく流れはちゃんと気持ちいい。ただし、ただの報復の快感だけではなく、「そんな重要人物を雑用扱いしていたのか」という発覚の気持ちよさが重なるので、読み味が強い。

  • 地味な能力が最強格へ反転するのが面白い
    剣や大魔法のように最初から目立つ能力ではなく、補助と調整が極まった結果として最強級へ見え方が変わる。この反転がかなり上手い。支援職好きにはかなり刺さる。

  • 作画が無双感をしっかり支えている
    設定だけ強い作品ではなく、バトルの躍動感と説得力がちゃんとある。だから「強いと言われているから強い」のではなく、「これは強い」と絵で納得させられる。


向き不向き

  • 合わない人

    • 追放系という枠そのものが苦手

    • 主人公の無自覚さにすぐ苛立つ

    • 派手な火力で全部解決する無双を求めている

  • 刺さる人

    • 支援職や補助能力が主役になる作品が好き

    • 追放系でも、ちゃんと差が見える「ざまぁ」が好き

    • 地味な能力が理屈付きで最強へ反転する展開が好き

    • 作画が強いバトル漫画を読みたい


まとめ

『雑用付与術師が自分の最強に気付くまで』は、追放系ファンタジーの形を借りながら、実際には支援職という立場をここまで強く見せられるのかという驚きで引っ張る作品だ。
ヴィムは前に出て目立つ英雄ではない。だが、彼がいないと成立しなかった戦闘があり、崩れるパーティーがあり、逆に彼がいることで初めて噛み合う戦場がある。
そこが分かり始めると、この作品はただのテンプレでは終わらない。

 

追放系は好きだが最近少し食傷気味、という時にも相性がいい。
逆に追放系をあまり読まない人でも、「補助役が主役のバトルもの」として入るとかなり読みやすい。
既刊11巻なので、今から追いかけるにもまだ十分手が届く範囲にある。
「どうせいつもの追放ものだろう」と思ったまま1巻に入ると、支援職の見え方が少し変わるタイプの作品だ。

 

 

雑用付与術師が自分の最強に気付くまで(コミック) : 1 (モンスターコミックス)

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