【七つの大罪】漫画はどんな話?ネタバレなし|国を救うはずの伝説がだいたいろくでもない漫画
聖騎士が国を守っていない。
王女は国を立て直すために、追われた罪人たちを探して旅へ出る。『七つの大罪』は、この出だしだけが他の漫画と色が違う。正義の側に見える人間が王国を押さえ、指名手配された伝説の騎士団のほうが希望になる。剣と魔法の王道ファンタジーとして読みに入れるのに、最初の並びから少し嫌なずれがあるので、そのまま手配書の先を見たくなる。
また団長メリオダスが、いかにも英雄らしい顔をしていない。小さくて、軽くて、スケベで、何を考えているのか分かりにくい。なのに戦いになると、笑っていた場面ごと持っていく。こういう主人公は、最初から強い側に立っているぶん、成長を見守る楽しさとは別の引っかかりを作る。こいつはいったい何者なのか、この先どこまで本気を見せるのか。そういう気持ちが早い段階で立ち上がる。
『七つの大罪』は、剣と魔法の冒険をまっすぐ描く漫画だ。王国があり、聖騎士がいて、王女がいて、伝説の騎士団がいる。材料だけ見れば、古典的なくらい正面からファンタジーをやっている。けれど、その王道の骨組みの上に、立場の逆転と、手配書の顔と実物のずれと、メリオダスの底の見えなさが乗るので、ただ懐かしいだけの話にはならない。
王道の気持ちよさと、先の気になる濁りが最初から一緒に入っている。
作品はどんな話?ネタバレなしあらすじ
舞台はブリタニア。
リオネス王国では、国を守るはずの聖騎士たちが力を握り、王を幽閉し、国の空気そのものが変わってしまっている。王女エリザベスは、その状況を変えるために、かつて王国を裏切ったとされる伝説の騎士団〈七つの大罪〉を探して旅に出る。
王女が罪人を探して国を救おうとする。その時点で、もう普通の英雄譚ではない。
旅の途中でエリザベスが辿り着くのが、移動酒場〈豚の帽子〉亭だ。
そこで出会うのが、喋るブタのホークと、小さな店主メリオダス。王国の危機を背負った旅のはずなのに、酒場の名前は変だし、店主はやたら軽いし、緊張感は少し抜ける。ところがメリオダスは、ひとたび敵と向き合うと別の顔を見せる。ふざけた空気のまま始まった場面を、そのまま力でを裏返してしまう。
そのため、エリザベスと一緒に「この人、本当に伝説の団長なのか」と疑いながら読んでいても、疑いきれない。
やがてエリザベスは、メリオダスこそが〈七つの大罪〉の団長だと知り、一緒に仲間を探す旅へ出る。
ここから先の動きがうまい。旅の目的は分かりやすいのに、見えていないものが多い。王国を立て直すには仲間が必要だが、その仲間たちは本当に王国を裏切ったのか。なぜ散り散りになったのか。メリオダスはなぜあの姿のままで、なぜあれほど強いのか。
読む手が止まりにくいのは、世界の説明が分かりやすいからだけではなく、このあたりの謎がうっすら残り続けるからだ。
伝説の騎士団と聞けば、もっと高潔で近寄りがたい顔を想像しやすい。
けれど『七つの大罪』で待っているのは、そういう綺麗な英雄像だけではない。手配書の顔は物騒なのに、実際に会うと拍子抜けする。軽い。雑だ。可愛い。変に人間くさい。
その拍子抜けのせいで、むしろ先が気になる。手配書に残っている顔のやつらが、実際にはどんな連中なのか。その顔ぶれを見たくて読み進いてしまう。
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基本情報
- 作者:鈴木央
- 掲載誌:週刊少年マガジン
- 出版社:講談社
- 巻数:全41巻
- 状態:完結済み
41巻と聞くと、手を出す前には少し長く見える。
けれど、『七つの大罪』は設定の細部を覚えるために読むタイプの長編ではない。王女の旅、団長との出会い、次の仲間への期待、その流れで入っていけるので、読み始めの重さは薄い。むしろ一冊目を開いたあとに「この先どんな顔が出てくるのか」のほうが勝ちやすい。
作品の構造
世界観
王国があり、聖騎士がいて、魔力があり、人ならざる種族もいる。
世界の骨組みは、昔ながらのファンタジーの形をしている。最近の作品に多い制度や理屈の積み上げを前へ出すのではなく、まず冒険と人物の顔を先に置くので、読み始めた時の入りやすさがある。
難しいことを理解する前に、王女が誰を探していて、その先にどんな連中が待っているのかが見える。
ただ、その世界の中で立場の見え方だけが少しずれている。
聖騎士が王国を押さえ、王女は罪人のはずの騎士団へ希望を託す。そのため、舞台そのものは王道なのに、空気は最初から少し濁っている。
この濁りがあるので、「よくある中世ファンタジー」で流れていかない。
戦闘システム
戦いは分かりやすい。
誰が強いのか、何が脅威なのか、技が場面をどうひっくり返すのかがすぐ見える。メリオダスの〈全反撃〉も、難しい理屈を先に飲み込ませるのではなく、「どう返すか」「いつ出すか」の気持ちよさが先に立つ。
だから戦闘の面白さが、そのままキャラクターの格好よさへつながる。
しかもメリオダスは、弱いところから始まる主人公ではない。
最初から強い。けれど、その強さが全部見えている感じもしない。軽い言動と、戦いになった時の格の差が同じ場面にあるので、単純な無双の気持ちよさだけで終わらない。
強キャラとして立っているのに、まだ正体の濁りが残っている。そこが読み進める理由になる。
作品テーマ
追われたままの連中なのに、いざという場面では王国を救う側へ立ってしまう。
『七つの大罪』では、そのねじれが旅の熱を支えている。〈七つの大罪〉という名前からして、最初から綺麗な英雄ではない。噂も悪いし、手配書の顔も怖いし、実際の言動もろくでもない。
それでも、大事な場面だけは外さない。そこに少年漫画としての気持ちよさがある。
手配書の顔と実物のずれも効いている。
世間では化け物みたいに語られているのに、会ってみると拍子抜けする。その拍子抜けが笑いになり、そのあと本気の顔が出た時に効きになる。
遠い伝説として置いてしまわず、ちゃんと人間くさい連中として旅に引き込む。そこが『七つの大罪』の強みだと思う。
この作品が刺さる理由3つ
- 聖騎士と罪人の立場がひっくり返っている
国を守るはずの聖騎士が敵側へ回り、追われた罪人たちが王女の希望になる。この逆転だけで、物語の入口にちゃんと引っかかりができる。
- メリオダスが最初から強キャラとして立っている
軽くてスケベで、何を考えているか分からないのに、戦いになると空気を持っていく。成長待ちの主人公ではなく、底の見えない団長が旅を引っぱる。
- 手配書が次の仲間への期待を作る
顔だけ見れば物騒な犯罪者集団なのに、実際に会うと印象がずれる。その仕掛けがあるので、他の大罪メンバーも早く見たくなる。
向き不向き
合わない人
- もっと乾いたダークファンタジーを求める人
- ラブコメっぽい軽さやサービス描写が苦手な人
- 長編ファンタジーへ入ること自体がしんどい人
刺さる人
- 剣と魔法の王道ファンタジーが好きな人
- 仲間集めのわくわくを味わいたい人
- 最初から強い主人公に惹かれる人
- シリアスと笑いが一緒にある長編が好きな人
- 名前は知っていたけれどまだ読んでいない人
まとめ
聖騎士が国を押さえ、王女は罪人を探して旅に出る。
このひっくり返りだけでも『七つの大罪』は十分面白い。しかも、その旅の最初に出てくる団長が、想像していた英雄像からずいぶん外れている。軽いし、スケベだし、信用していいのか迷う。
なのに戦いになると、ちゃんと場面を持っていく。そこが強い。
王道ファンタジーとして入りやすいのに、王道のままでは流れていかない。
旅の目的は見えているのに、〈七つの大罪〉の過去も、メリオダスのことも、王国の事情もまだ濁っている。するすると読めるのに、読み終えた時には手配書に残っている顔のことばかり考えている。
そうやって、次の巻へ自然に手を伸ばさせる。
酒場の扉を開けたあと、そのまま次の仲間を探しに行きたくなる。
『七つの大罪』は、王道ファンタジーの気持ちよさを正面から浴びせながら、その先の濁りでも読ませる漫画だ。
剣と魔法の冒険を直球で読みたい時、この一冊はちゃんと応えてくれる。
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