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【東島丹三郎は仮面ライダーになりたい】漫画はどんな話?ネタバレなしあらすじ|仮面ライダーになれなかった大人が一番仮面ライダーしてる漫画

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【東島丹三郎は仮面ライダーになりたい】漫画はどんな話?ネタバレなしあらすじ|仮面ライダーになれなかった大人が一番仮面ライダーしてる漫画

東島丹三郎は仮面ライダーになりたい(1) (ヒーローズコミックス)東島丹三郎は仮面ライダーになりたい(2) (ヒーローズコミックス)東島丹三郎は仮面ライダーになりたい(3) (ヒーローズコミックス)

山の中で、四十歳の男が体を鍛えている。仕事帰りに少し運動する、くらいの話ではない。熊と渡り合えるほどの体を作り、孤独の中で、ただひとつの夢だけを握りしめている。東島丹三郎(とうじま たんざぶろう)は、仮面ライダーになりたかった。

 

四十歳になっても仮面ライダーになりたい。そう聞くと、笑ってしまう人もいると思う。子どもの頃の夢をこじらせた大人。特撮好きのおじさん。社会から少し外れた、痛々しい人。けれど、ページを開くと、その笑いが少しずつ引っ込んでいく。東島は遊びで変身したいわけではない。本気で、仮面ライダーのように悪へ立ち向かいたい男なのだ。

 

『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』は、仮面ライダーへの憧れを笑い飛ばす漫画ではない。むしろ、笑われるくらいの憧れを、四十歳まで捨てなかった人間の話だ。夢を諦める寸前まで行った男が、縁日のお面をかぶり、現実の悪へ拳を向ける。その瞬間、ただのごっこ遊びだったものが、本人にとっては本物の変身になる。

 

仮面ライダーになれなかった大人が、一番仮面ライダーしている。タイトルの時点では冗談みたいなのに、読み進めるほど冗談では済まなくなる。好きなものを好きだと言い続けた人間の体は、いつの間にか本当に戦える体になっている。山の中で鍛えた拳が、夏祭りの夜に振り下ろされる。


作品はどんな話?ネタバレなしあらすじ

東島丹三郎は、四十歳のフリーター。幼い頃から仮面ライダーに憧れ、自分もいつか仮面ライダーになりたいと本気で思い続けてきた。だが、現実には改造手術を受けることもなく、ショッカーにさらわれることもなく、時間だけが過ぎていく。

 

それでも東島は、ただ待っていたわけではない。山に籠もり、体を鍛え、仮面ライダーになるための準備を続けていた。誰に頼まれたわけでもない。誰かに認められるためでもない。子どもの頃から胸に残っている「仮面ライダーになりたい」という願いだけが、彼の体を動かしてきた。

 

しかし、四十歳という年齢は重い。夢を抱えたまま生きてきた東島にも、諦めが近づく。大切にしていた仮面ライダーグッズを手放し、自分の人生からその夢を片づけようとする。そのタイミングで、世間を騒がせる「偽ショッカー」強盗事件が起こる。

 

偶然その場に居合わせた東島は、縁日で手に入れた仮面ライダー1号のお面をかぶり、強盗たちの前に立つ。お面は安い。変身ベルトもない。だが、鍛え続けた肉体と、逃げない心だけは本物だった。東島は、自分の中にあった仮面ライダーをようやく外へ出す。

 

そこから物語は、ただの特撮オマージュでは終わらなくなる。東島と同じように、仮面ライダーや特撮ヒーローへ人生を捧げた大人たちが現れる。夢を笑われても、社会に馴染めなくても、それでも捨てられなかった憧れが、現実の事件とぶつかっていく。大人になってから始まる、遅すぎる変身の物語。

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基本情報

  • 著者:柴田ヨクサル
  • 協力:石森プロ、東映
  • 掲載:月刊ヒーローズ、コミプレ-Comiplex-
  • 出版社:ヒーローズ
  • 巻数:既刊18巻(2026年5月時点)
  • 状態:連載中
  • ジャンル:ヒーロー、特撮、バトル、アクション、群像劇
  • メディア展開:テレビアニメ化

連載は2018年に月刊ヒーローズで始まり、現在はコミプレで続いている。2025年にはテレビアニメ化もされ、仮面ライダーを本気で愛しすぎた大人たちの物語として、漫画の外にも広がった。

 

既刊18巻まで続いているため、短く完結する作品ではない。だが、序盤の引きは強い。四十歳の男が仮面ライダーになりたいという一言から始まり、偽ショッカー強盗事件、同じ熱を持つ人間たちとの出会いへ一気に転がっていく。特撮に詳しいほど拾えるものは増えるが、詳しくなくても「好きなものを捨てられなかった大人の熱」は届く。


作品の構造

世界観

夜の夏祭り、山奥の修行場、日常の片隅に現れるショッカーの影。『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』の世界は、現実と特撮の境目が最初から少しおかしい。普通の街で暮らしているはずなのに、東島の目にはずっと仮面ライダーの世界が重なっている。

 

最初は、その見え方が危うく見える。四十歳の男が仮面ライダーになりたいと本気で言う。山で鍛える。変身できる日を待つ。周囲から見れば、笑われても仕方がない。だが、東島にとっては、それだけが人生の真ん中にあった。現実が彼を笑っても、彼の中の仮面ライダーは消えない。

 

その現実へ、偽ショッカー強盗事件が入り込む。東島の夢だったはずのものが、急に外の世界で形を持ち始める。縁日のお面、鍛えた肉体、逃げる人々、立ちはだかる悪。特撮の記号だったものが、現実の事件の中で使われる。ここで物語の空気が一気に変わる。

 

仮面ライダーを知っている世界で、仮面ライダーになれなかった大人たちが戦う。そこに本作の変な熱がある。憧れは作り物だったかもしれない。だが、その憧れに人生を使った人間の体と心は作り物ではない。現実の地面に、子どもの頃の変身ポーズが突き刺さっている。

 

 

戦闘システム / 物語システム

東島は改造人間ではない。変身ベルトで能力を得るわけでもない。彼の武器は、鍛え続けた肉体と、仮面ライダーとして逃げないという思い込みに近い覚悟だ。普通なら痛々しく見えるはずの思い込みが、戦いの中では折れない精神になる。

 

戦闘は、格闘漫画としての荒さと、特撮ヒーローへの憧れが混ざっている。蹴る、殴る、耐える。肉体でぶつかる描写が強い一方で、技名や構えには仮面ライダーへの愛が乗っている。東島にとって、戦いはただ敵を倒す行為ではない。憧れてきたヒーローの動きを、自分の体で実行する時間だ。

 

物語は、東島一人だけでは広がらない。岡田ユリコ(おかだ ゆりこ)や島村一葉(しまむら いちよう)のように、別の形で特撮ヒーローへの憧れを抱えた人間たちが集まってくる。それぞれが違う作品、違うヒーロー、違う正義の形を持っている。全員がまともとは言いにくい。だが、全員が本気だ。

 

この「本気のごっこ」が、物語を動かす。ごっこなのに体を鍛えている。ごっこなのに人生を使っている。ごっこなのに、相手が本当に危険なら命がけになる。遊びと本気の境目が溶けた場所で、東島たちはヒーローとしての自分を証明しようとする。

 

 

作品テーマ

東島の夢は、普通なら終わっているはずの夢だ。仮面ライダーになりたい。子どもの頃なら分かる。だが、四十歳になっても同じ言葉を言い続けるには、相当な孤独がいる。周りの人生は進み、仕事も家庭も年齢も積み上がっていく。その中で、東島だけが子どもの頃の夢を手放せない。

 

けれど、本作はその手放せなさを馬鹿にしない。むしろ、手放せなかった時間を、戦える体に変えてしまう。誰にも頼まれていない修行。報われる保証のない努力。使い道のないはずだった肉体。全部が、偽ショッカーの前に立った瞬間、急に意味を持ち始める。

 

大人になることは、夢を捨てることだと決めつけられがちだ。だが、東島は捨てられなかった。捨てられなかったせいで苦しみ、孤独になり、笑われる。それでも、目の前の悪から逃げなかった時、彼は誰よりも仮面ライダーに近づく。変身とは、見た目が変わることだけではないのだと、拳で見せてくる。

 

好きなものを好きでいることには、年齢がつきまとう。特撮、漫画、ゲーム、ヒーロー。大人になっても手放せないものは、時に自分を支え、時に自分を苦しめる。東島丹三郎は、その両方を背負ったまま立つ。お面の奥の目は、子どもの頃から一度も夢を降ろしていない。


この作品が刺さる理由3つ

  • 四十歳の「仮面ライダーになりたい」が、笑いから熱に変わる
    最初は、どうしても痛々しく見える。四十歳の男が仮面ライダーになりたいと本気で言い、山に籠もって体を鍛えている。だが、偽ショッカー強盗事件の前に立った瞬間、その痛々しさが別のものに変わる。お面しかない。ベルトもない。けれど、逃げない。子どもの頃の夢を四十歳まで捨てなかった男の拳が、急にまっすぐ見えてくる。

 

  • 柴田ヨクサルの熱量が、理屈を拳で押し切ってくる
    東島の戦いは、きれいに整理されたヒーローアクションではない。感情が先に走り、体が前へ出て、叫びと拳が同時に飛ぶ。『エアマスター』『ハチワンダイバー』にも通じる、柴田ヨクサル作品特有の圧がある。普通なら笑ってしまう変身願望を、ページの勢いで本気の戦いにしてしまう。読んでいるうちに、理屈で止めようとしていた自分の方が置いていかれる。

 

  • 同じ夢をこじらせた大人たちが集まってくる
    東島だけでも濃いのに、岡田ユリコや島村一葉のような人間が現れることで、物語はさらに騒がしくなる。彼らはコスプレ感覚でヒーローを名乗っているわけではない。人生のどこかを削って、そのヒーローに近づこうとしている。周りから見れば変人でも、本人たちにとっては祈りに近い。その本気が集まると、大人の夢がただの笑い話で終わらなくなる。

向き不向き

  • 合わない人
    • 特撮ヒーローへの強い憧れを、どうしても茶化して見てしまう人。登場人物たちは全員、本気でヒーローを目指している。
    • 柴田ヨクサル作品特有の勢いある絵柄やテンションが苦手な人。感情も戦闘も大きく振り切れる。
    • 現実的で落ち着いたヒーロー漫画を求めている人。現実と特撮の境目が大きく歪む作品なので、冷静なリアリティとは別の読み味になる。
    • 仮面ライダーの要素に興味がない人。特撮知識が必須ではないが、作品全体の熱源は仮面ライダーへの憧れにある。
  • 刺さる人
    • 子どもの頃にヒーローへ憧れたことがある人。変身ポーズや必殺技の記憶が、東島の行動と重なる。
    • 大人になっても好きなものを捨てられない人。年齢を重ねた後の夢の重さが描かれる。
    • 柴田ヨクサルの熱量あるバトルや、振り切れたキャラクターが好きな人。
    • 『仮面ライダー』シリーズへの愛やオマージュを楽しみたい人。石森プロ・東映協力の作品として、特撮への敬意が濃い。
    • 変な設定から本気の熱へ変わる漫画を読みたい人。冗談みたいな入口から、ヒーローの姿が立ち上がってくる。

まとめ

『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』の始まりは、四十歳の男の夢としてはあまりにも不器用だ。仮面ライダーになりたい。子どもの頃なら微笑ましい言葉も、大人になれば笑われる。東島丹三郎は、それを知っていて、それでも山で体を鍛えてきた。

 

縁日のお面をかぶった姿は、完璧な変身ではない。だが、逃げる人々の前に立つ背中は、もう仮面ライダーのそれに近い。おもちゃのような面でも、彼の体には長い時間が詰まっている。諦めきれなかった夢が、拳の形をして飛び出してくる。

 

大人になるほど、好きだったものは少しずつ棚の奥へ押し込まれていく。けれど、東島はその奥から引きずり出す。埃をかぶった変身の記憶を、もう一度体に戻す。山の暗さ、夏祭りの光、安いお面、振り抜かれる拳。笑っていたはずの仮面ライダーごっこが、いつの間にか本物のヒーローの顔をしている。

 

 

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